2016年9月12日月曜日

[ケースファイル]SHIMANO(シマノ)Dura-Ace Di2(デュラエースDi2)のバッテリー充電ができない

[ケースファイル] SHIMANO Dura-AceDi2のバッテリー充電ができない

今回はトライアスロンのレース帰りでのトラブルです。自宅に帰ってきて、梱包されていた車体を組み立てした後、バッテリーを充電しても充電ランプがつかない。との事。操作してみると、フロント/リアの変速機も動きません。



Di2のシステムはPCで状態をチェックすることが出来ます。まずは、PC側のソフトウェア(E-tube Project)にDi2機器を認識させてみました。すると、左の写真に「ユニットが検出されていません」とエラーが出ている項目が一つあります。ほかにも、右の写真には本来表示されているはずのリア変速、フロント変速のユニットが表示されていない(=認識されていない)ことが分かります。

この結果から、バッテリー、リア変速機、フロント変速機の3つの機器が正常な状態ではないことが分かりました。

お客様に大会前後の状況をお伺いすると…
・レース前、レース中はすべて正常に動いていた。
・おかしくなったのはレース後から。
ということでした。

ということは、3つの機器が一気に故障してしまったという可能性は低いですね。

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状況確認からピンと来たので、一本のエレクトリックワイヤーの状態を確認してみました。すると、2か所(青丸)でワイヤーが押しつぶされたような跡がありますね。ここが原因かもしれないという仮説を実証することにしました。

まず、クランク・BB(ボトムブラケット)を取り外して、フレーム内部でエレクトリックワイヤーを集合させている「ジャンクションB」を取り出します。4つの結線のうち、一つは先ほど気になっていたワイヤーが繋がっています。

そのワイヤーを一度とりはずし、フレームの外で新しいワイヤーを仮接続して、もう一度PCのソフトウェアでユニットを認識させてみます。


すると、さっきまで認識されていなかった3つの機器が正常に認識されました。(リア変速機が黄色に点灯している理由は後ほどわかります。)

今回のトラブルの原因は「エレクトリックワイヤーの断線」という事で確定です。ちなみに断線してしまっていた箇所については、お客様で再組立てをする際に「ハンドルで該当のワイヤーを挟み込んでしまったことがある」との事でした。

TTバイクは、ハンドルバーを外して梱包する事になるためDi2をお使いの方は同様のトラブルに気を付けなければなりませんね。


修理開始です。断線したワイヤーと新しいワイヤーを交換します。フレーム内部を通さなければならないのですが、今回はすでにワイヤーが通っています。このような場合は元のワイヤーを使って、新しいワイヤーのガイドをさせる事ができます。

左の写真のように、ヘッドチューブ側から新旧のワイヤーを末端で固定してBB側からゆっくりと引っ張ります。そうすると右の写真のように、古いワイヤーにガイドされた新しいワイヤーがフレーム内部を無事に通り抜けてきました。


クランク・BBを元戻ししたら、動作確認です。バッテリーチャージャーには先ほどまでつかなかった充電ランプが付いています。ユニット認識の項目もすべてOKです。


さて、先ほど気になったリア変速機の黄色表示ですが、答えは「ファームウェアが最新でない」という案内です。ファームウェアのバージョンが古すぎると、新しいファームウェアが入った機器を一部交換したりしたタイミングで、システム全体が動作しなくなることもあります。バッテリーが劣化したので新品を購入→交換したら動作しなくなった!というトラブルが起きたりするわけです。

というわけで、今回はファームウェアアップデートも一緒に行い、すべての機器のファームウェアが最新であることを確認できました(右の写真)

Di2のトラブルは大抵、今回のような「エレクトリックワイヤーの断線」がほとんどで、水の侵入などで壊れたケースはあまり聞いたことがありません。

信頼性の高い、便利で快適なDi2システム。輪行やバーテープ交換時の「うっかり」だけは気を付けていただき、よりたくさんのみなさまに利用していただきたい。ですね!

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